福島県の山間に抱かれるように佇む大内宿。
標高約650メートル、会津と日光を結んだ旧街道沿いに、今も江戸の呼吸が残る場所です。
初めて雪の季節にこの地を訪れた朝、僕はしばらく車を降りられませんでした。
フロントガラスの向こうに広がっていたのは、白に包まれた茅葺き屋根の連なり。
音が消えた世界でした。
雪は、景色だけでなく“時間”までも覆い隠してしまうのです。
大内宿は、江戸時代に参勤交代や商人たちが往来した宿場町。
その歴史的価値から1981年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
けれど、ここが本当にすごいのは「保存されている町」ではなく、
「今も息づいている町」であることです。
茅葺き屋根の家々は、資料館ではありません。
囲炉裏に火が入り、湯気が立ち、ねぎそばをすする音が響く“生活の舞台”なのです。
僕はこれまで全国の歴史的町並みを取材してきました。
京都の産寧坂、岐阜の白川郷、石川のひがし茶屋街——それぞれに美しさがあります。
けれど、大内宿の冬は少し違う。
雪が降ることで、観光地という輪郭がやわらぎ、
物語の中に入り込んだような没入感が生まれるのです。
特に冬。
一面の白銀が茅葺き屋根をやさしく包み込み、空気は澄みきり、吐く息が白く立ち上る。
その光景は、時代劇のセットのようでいて、どこまでも本物。
静寂のなか、足音だけが雪を踏むリズムを刻みます。
「まるで昔話の世界みたいですね」
以前、取材中に出会った年配のご夫婦がそうつぶやきました。
その言葉に、僕は強くうなずいたのを覚えています。
大内宿の雪景色は“映える”のではなく、“沁みる”。
心の奥にゆっくり染み込んでいく美しさなのです。
そして、専門的な視点から見ても、この景観は奇跡に近い。
豪雪地帯である南会津では、冬の積雪が1メートルを超えることも珍しくありません。
本来なら維持が難しい茅葺き屋根を、地域の人々が協力しながら守り続けてきました。
雪下ろしや屋根の葺き替えは今も人の手で行われ、
景観は“努力の結晶”として存在しています。
つまり、この美しさは偶然ではない。
歴史と自然と人の営みが重なり合って、はじめて生まれる風景なのです。
観光情報としてお伝えするなら、
冬の大内宿は例年1月から2月にかけて積雪が安定します。
特に雪まつりの時期は、昼と夜で表情がまったく異なります。
昼は白の世界、夜は灯りが揺れる幻想の世界。
写真家たちがわざわざ三脚を抱えて訪れる理由も、
実際に立てばすぐにわかるでしょう。
けれど僕は、数字や気温の話だけで終わらせたくない。
雪に覆われた大内宿を歩いていると、なぜか心のざわめきが静まっていきます。
スマートフォンを見る時間が減り、白い息を見つめる時間が増える。
人はきっと、こんな静かな時間を本当は求めているのかもしれません。
大内宿の冬は、観光地ではありません。
それは、忙しい日常から一歩離れ、自分の内側と向き合う“余白の旅”です。
もしあなたが、ただ有名な場所を巡るのではなく、心に残る風景を探しているのなら。
雪の大内宿は、きっと静かに応えてくれるはずです。
白に包まれた茅葺きの道を歩くその瞬間、あなたはただの観光客ではなくなる。
物語の登場人物になるのです。
開催日程と時間|雪に包まれる二日間の物語
大内宿雪まつりは、例年2月の第2土曜・日曜に開催されています。
2026年も同時期での開催が見込まれていますが、
正式な日程は必ず下郷町観光協会や公式観光サイトで最新情報をご確認ください。
僕はこれまで何度もこの祭りを取材してきましたが、
日程以上に大切なのは「時間の流れ」を知ることだと感じています。
なぜなら、この祭りは“瞬間の重なり”で完成するからです。
❄ 昼 ―― 静寂の白い世界を歩く時間
昼間の大内宿は、まだ静かです。
白銀に包まれた茅葺き屋根が、澄んだ青空の下でゆっくり呼吸をしているように見えます。
観光客の足音が雪に吸い込まれ、音のない世界が広がる。
この時間帯は、写真撮影や街道散策に最適です。
実際、プロ・アマ問わず多くの写真愛好家が、日中の柔らかな自然光を狙って訪れます。
気温は氷点下になることも珍しくありません。
防寒対策は必須ですが、その凛とした空気こそが、冬の大内宿の本質です。
🔥 夕暮れ|御神火点火式という“合図”
太陽が山の向こうへ沈み始める頃、空気が一変します。
それが、御神火点火式の時間。
静かな雪景色の中に、ゆらりと灯る炎。
その瞬間、観光地は“祭りの舞台”へと姿を変えます。
僕が初めて御神火を目にしたとき、思わず息をのみました。
炎のオレンジ色が、雪の白と対比しながら町並みに命を吹き込む。
写真では決して再現できない、立体的な光景です。
🎆 夜 ―― 花火が描く、白夜のクライマックス
そして夜。
冷え込む空に打ち上がる花火が、雪原に反射します。
通常の花火大会と違うのは、“雪が光を受け止める”こと。
音が山に反響し、白い大地が色を帯びる。
それはまるで、夜空が大内宿を祝福しているかのようです。

※この画像はイメージです。
この時間帯が最高潮。
特に土曜日は混雑が予想されるため、余裕をもって到着することが重要です。
駐車場やシャトルバスの運行情報も、事前確認が安心です。
⏰ 経験者として伝えたい、時間配分のコツ
僕のおすすめは、15時頃までに現地入りし、
昼→夕暮れ→夜まで通しで体験すること。
なぜなら、大内宿雪まつりは“イベント”ではなく、“移ろい”を楽しむ祭りだから。
白から橙へ。
静寂から歓声へ。
昼から夜へ。
その変化を体験して初めて、この祭りは完成します。
ねぎそばの特徴|一本の葱が、旅を物語に変える
大内宿を訪れたなら、必ず味わってほしい一杯があります。
それが、この地の名物「ねぎそば」。
初めて目の前に運ばれてきたとき、僕は思わず笑ってしまいました。
丼の上に、どんと一本の長ネギ。しかも、それが“箸”だというのですから。
けれど、これは単なる話題性のある郷土料理ではありません。
この食べ方には、きちんと理由と歴史、そして土地の知恵が息づいています。

※この画像はイメージです。
箸の代わりに“長ネギ”を使う理由
大内宿のねぎそばは、一般的な割り箸や箸を使いません。
一本の長ネギで蕎麦をすくい上げ、そのまま口へ運びます。
最初は戸惑うかもしれません。
うまく持ち上がらず、するりと落ちる。
けれど、その不器用さこそが、この一杯の本質です。
実はこの長ネギ、ただの代用品ではありません。
会津地方は寒暖差が大きく、甘みの強いネギが育つ土地。
特に冬場のネギは糖度が増し、辛味の奥にしっかりとした甘みを持ちます。
蕎麦をすくいながら、少しだけネギをかじる。
すると、ピリッとした刺激とやわらかな甘みが、出汁の効いたつゆと絡み合う。
口の中で、三重奏が始まるのです。
食べ進めるほど完成していく一杯
僕が感動したのは、後半でした。
最初は硬く、みずみずしかったネギが、温かいつゆに浸ることで少しずつ柔らかくなっていく。
繊維がほぐれ、辛味が穏やかになり、甘みが前に出てくる。
つまり、このねぎそばは“時間とともに味が変化する料理”なのです。
最後には、しんなりとしたネギをそのままかじり、蕎麦と一緒に食べきる。
一本のネギが、始まりから終わりまで物語を紡ぐ。
ここまで計算された郷土料理は、そう多くありません。
体験としての「ねぎそば」
僕はこれまで全国の郷土蕎麦を取材してきました。
出雲そば、戸隠そば、わんこそば——どれも素晴らしい文化です。
けれど、大内宿のねぎそばは少し違う。
それは“食べる”というより、“体験する”蕎麦。
箸を使わないことで、自然と食べるスピードがゆっくりになる。
囲炉裏の火を感じながら、茅葺き屋根の下で、雪景色を眺める。
その時間そのものが、ごちそうなのです。
なぜ大内宿で生まれたのか
宿場町として栄えた大内宿は、旅人をもてなす場所でした。
手軽でありながら記憶に残る料理——その工夫のひとつが、このねぎそばだと僕は感じています。
一本のネギで食べるという遊び心。
けれど、そこには土地の農産物を最大限活かす合理性がある。
話題性と実用性。
伝統と革新。
このバランス感覚こそが、大内宿らしさなのです。
ねぎそばは、写真では伝わりません。
動画でも足りない。
実際に手に取り、少し戸惑い、笑いながらすくい、かじる。
その一連の動作が、あなたの旅を“記憶”に変えます。
もしあなたが大内宿を訪れるなら、
どうかこの一本のネギに挑戦してみてください。
不器用でも大丈夫です。
そのぎこちなささえ、きっと愛おしい思い出になるはずです。
車でのアクセス方法
大内宿は福島県南会津の山間部に位置しています。
だからこそ、冬の訪問は“移動そのもの”が旅の一部になるのです。
僕はこれまで雪まつり期間中に何度も車で向かいました。
結論から言えば、車でのアクセスが最も自由度が高く、現実的です。
ただし、冬の運転には明確な準備と判断力が必要になります。
🚗 東京方面からのアクセス
東京方面から向かう場合は、東北自動車道を北上し、白河ICで降りるルートが一般的です。
そこから国道289号、121号を経由し、およそ1時間。
高速道路を降りた瞬間から、景色は都会の灰色から、雪の白へと変わります。
山道に入るとカーブが続き、標高が上がるにつれて路面状況も変化します。
雪まつり当日は特に混雑します。
僕の経験上、15時を過ぎると周辺道路は渋滞が発生しやすい。
御神火や花火を狙うなら、昼過ぎには到着しておくのが理想です。
🚗 仙台方面からのアクセス
仙台方面からは東北自動車道を南下し、白河ICまたは会津若松ICを利用します。
会津若松経由の場合は観光と組み合わせやすい利点がありますが、
山間部の走行距離はやや長くなります。
天候や道路状況によってルート選択を柔軟に変えるのが賢明です。
❄ 冬期走行で絶対に守るべきポイント
ここは強くお伝えします。
スタッドレスタイヤは必須です。
南会津エリアは豪雪地帯。
昼間に溶けた雪が夕方以降に凍結し、ブラックアイスバーンになることも珍しくありません。
見た目は濡れた路面でも、実際は氷というケースもあります。
さらに、チェーンの携行も強く推奨します。
実際、雪まつり期間中に突然の降雪で通行状況が変わった年もありました。
装着するかどうかではなく、「持っている安心感」が大切です。
そして、燃料は余裕を持って給油しておきましょう。
山間部ではガソリンスタンドが限られます。
渋滞時のエンジン稼働を考えると、残量半分以下での進入は避けたいところです。
🅿 駐車場と到着時間のリアル
雪まつり期間中は臨時駐車場が設けられ、シャトルバスが運行されることが多いです。
ただし、ピーク時は満車になる可能性があります。
僕の取材経験から言えるのは、
「イベント開始の2~3時間前到着」が最もストレスが少ないということ。
早めに到着すれば、昼の静かな雪景色も楽しめます。
移動を急ぐ旅より、余白を持った旅の方が、結果的に満足度は高いのです。
公共交通機関でのアクセス| 雪国へ向かう“旅の助走”
大内宿へ向かう道のりは、単なる移動ではありません。
それは、都会の速度からゆっくりと解き放たれていく“助走”の時間です。
電車を利用する場合、最寄り駅は会津鉄道の湯野上温泉駅。
茅葺き屋根の駅舎で知られるこの無人駅に降り立った瞬間、
旅人はすでに物語の中に足を踏み入れています。
🚄 東京からのルート|最短距離より、最良の導線を選ぶ
東京方面から向かう場合、
王道ルートは東北新幹線で郡山駅または新白河駅まで移動し、在来線へ乗り継ぐ方法です。
僕の取材経験上、冬場は郡山経由のほうが本数が比較的安定しているため安心感があります。
雪によるダイヤ乱れが発生することもあるため、時間には余裕を持つのが鉄則です。
特に雪まつり期間中は乗客が増えます。
指定席の事前確保は、心の余裕にもつながります。
「アクセスを制する者が、冬旅を制する」
これは豪雪地帯取材を重ねてきた僕の実感です。
🚉 湯野上温泉駅|旅情が始まる場所
列車を降りた瞬間、凛とした空気が頬を刺します。
湯野上温泉駅は、日本でも珍しい茅葺き屋根の駅舎。
雪をかぶったその姿は、すでに大内宿の“予告編”のようです。
ここから大内宿までは約3キロメートル。
徒歩も不可能ではありませんが、積雪期は安全面からもおすすめできません。
🚌 バス・タクシーの活用法
通常は路線バスまたはタクシーを利用します。
雪まつり期間中は臨時バスが運行されることもありますが、運行本数は限られています。
僕の経験では、夕方16時以降は混雑が顕著。
花火や御神火を目当てに訪れる人が一気に増えるため、余裕を持った移動計画が必要です。
タクシーは確実ですが台数が多くありません。
駅到着前に配車予約をしておくと安心です。
❄ 冬アクセスで最も重要なこと
それは、“想定外を想定する”こと。
雪国では、天候がすべてを左右します。
吹雪けば視界が変わり、凍結すれば移動時間は延びます。
だからこそ僕は、読者の皆さんにこう伝えたい。
「早く着く」よりも
「余裕を持って着く」ほうが、旅は美しくなる。
湯野上温泉駅から大内宿へ向かう短い道のりは、
冬の静寂に包まれた、心の準備時間です。
車窓から見える雪原、白い山並み、静かな集落。
そのすべてが、これから始まる幻想の夜へとあなたを導いてくれます。
大内宿への公共交通アクセスは、決して難しくはありません。
けれど、少しの準備と余白が、旅の質を大きく変えます。
到着したとき、あなたはもう観光客ではない。
雪国のリズムに身を委ねる、ひとりの旅人になっているはずです。
服装と持ち物のアドバイス |“寒さ対策”は、旅の質を守る装備です
雪の大内宿は、息をのむほど美しい。
けれど同時に、甘く見てはいけない“本気の冬”でもあります。
2月の南会津は、日中でも氷点下近く、夜間は氷点下5度以下になることも珍しくありません。
体感温度はさらに下がります。
特に雪まつりの時間帯は夕方から夜。
寒さのピークと重なります。
僕はこれまで豪雪地帯を何度も取材してきましたが、断言できます。
防寒対策は「念入り」ではなく「過剰なくらい」がちょうどいい。
寒さに意識を奪われると、目の前の絶景を味わえなくなるからです。

※この画像はイメージです。
🧥 アウターは“本気仕様”を選ぶ
ダウンジャケットやスキーウェアなど、厚手の防寒アウターは必須。
薄手のコートでは、夜の冷気に太刀打ちできません。
ポイントは「重ね着(レイヤリング)」です。
・吸湿発熱インナー
・フリースやニット
・ダウンや防風アウター
この三層構造が理想。
屋内に入ったときに調整できるため、体温管理がしやすくなります。
特に女性や冷え性の方は、下半身の防寒も重要。
裏起毛タイツや防寒パンツがあると安心です。
🧣 首・手・耳を守ると体感温度が変わる
体温は“首元”から逃げます。
マフラー、ネックウォーマーは必須装備。
そして意外と盲点なのが「耳」。
夜の花火を見上げていると、耳がじんじんと痛くなることがあります。
耳まで覆えるニット帽やイヤーマフは、実際に現地で重宝します。
手袋も、できれば防水タイプを。
写真撮影をする方は、スマホ対応のものがおすすめです。
👢 足元が、旅の快適さを決める
雪道は想像以上に滑ります。
日中に踏み固められた雪は、夜には凍結することも。
靴は必ず、防水性のあるスノーブーツを選びましょう。
滑り止め加工された靴底は必須です。
僕は以前、通常のスニーカーで訪れて後悔した経験があります。
足先が冷えきり、景色よりも寒さの記憶が残ってしまいました。
足元が冷えると、旅の満足度は確実に下がる。
これは雪国取材で学んだ教訓です。
🔥 あると安心な持ち物リスト
・使い捨てカイロ(複数枚)
・モバイルバッテリー(寒さで電池消耗が早まる)
・防水スプレー(事前対策)
・保温ボトル(温かい飲み物)
特にカイロは、背中・お腹・足先用と分けて持つと安心です。
寒さが厳しい夜、ポケットの中の小さな温もりがどれだけ救いになるか。
❄ 寒さ対策は“景色を守る準備”
大内宿の冬は、美しいけれど容赦がない。
だからこそ、きちんと備えてほしいのです。
防寒は、ただの装備ではありません。
それは、あなたが目の前の光景を心から楽しむための“余白づくり”。
冷えに震える夜ではなく、
花火に息をのむ夜にしてほしい。
雪を踏みしめる音を楽しみ、
白い息を眺める余裕を持ってほしい。
しっかり準備を整えたその瞬間から、
あなたの冬旅は、もう成功に近づいています。
周辺観光スポット|湯野上温泉という“余韻の場所”
大内宿の雪まつりを満喫したあと、僕が必ず立ち寄る場所があります。
それが、湯野上温泉です。
大内宿から約3キロメートル。
距離にしてわずか数分ですが、その温もりは、旅の印象をまるごと変えてくれます。
♨ 会津の奥座敷|静かに湯けむりが立ちのぼる場所
湯野上温泉は、古くから“会津の奥座敷”と呼ばれてきた温泉地。
派手さはありません。けれど、山あいに抱かれたその静けさこそが魅力です。
雪まつりの夜、花火を見上げながら冷え切った指先。
耳に残る打ち上げ音の余韻。
そのまま温泉へ向かうと、旅は一気に“完成形”へ近づきます。
僕は以前、氷点下の夜に取材を終え、そのまま湯野上温泉へ向かいました。
湯船に足を沈めた瞬間、じわりと体の芯がほどけていく感覚。
あの瞬間を知ってしまうと、雪まつりと温泉は切り離せません。
🚉 茅葺き屋根の駅舎という物語
湯野上温泉駅は、日本でも珍しい茅葺き屋根の駅舎。
雪をまとった姿は、大内宿と呼応するような風景をつくります。

※この画像はイメージです。
駅舎内には無料の足湯もあり、列車待ちの時間に体を温めることができます。
冷えた足先がじんわりと解けていくあの感覚は、冬旅ならではの贅沢です。
観光地というより、“暮らしの中にある温泉地”。
それが湯野上温泉の魅力です。
🛁 日帰り入浴という選択肢
周辺には日帰り入浴が可能な温泉施設も複数あります。
宿泊しなくても立ち寄れるため、雪まつりと組み合わせたプランが立てやすいのも特徴です。
実際に僕が取材で利用した施設では、地元の方と肩を並べながら湯に浸かりました。
観光パンフレットには載らない会話こそ、旅の本質だと感じます。
「今日は冷えたでしょう」
そんな一言が、旅人の心をほぐしてくれる。
❄ 大内宿観光 × 温泉という黄金ルート
大内宿の雪景色は、視覚で感動する旅。
湯野上温泉は、体感で記憶に刻む旅。
この二つをセットにすると、旅は“立体的”になります。
昼は白銀の宿場町を歩き、
夜は幻想の花火に息をのみ、
最後は温泉で余韻に浸る。
それは単なる観光プランではありません。
五感で味わう、冬の会津体験です。
僕はいつも思います。
旅は、帰る瞬間に決まる。
体がぽかぽかと温まり、心までゆるんだ状態で帰路につくとき、
その旅は成功している。
大内宿を訪れるなら、どうか湯野上温泉まで足を延ばしてください。
雪と灯りと花火のあとに待っているのは、静かな湯けむり。
それはきっと、あなたの冬の記憶をやさしく包み込んでくれるはずです。
おすすめの過ごし方|大内宿を“体験”に変える一日の設計図
大内宿の雪まつりは、ただ訪れるだけではもったいない。
時間の使い方ひとつで、旅は“観光”にも“物語”にもなります。
僕が何度も取材を重ねてたどり着いたのは、
流れに身を任せながらも、要所は外さない過ごし方。
ここでは、日帰りと宿泊、それぞれの最適解をご紹介します。
❄ 日帰りプラン|一日で“白から光へ”を体験する
理想は午前中の到着。
朝の大内宿は、まだ観光客も少なく、雪の静けさが残っています。
午前|雪景色に溶け込む時間
茅葺き屋根が連なるメインストリートを、急がず歩く。
シャッターを切る前に、まず深呼吸を。
白い屋根、軒先の氷柱、煙突から立ちのぼる煙。
この時間帯は自然光がやわらかく、写真撮影にも最適です。
そして忘れてはいけないのが、集落奥の高台展望台。
雪に包まれた大内宿全景を見渡せる絶景ポイントです。
僕は初めてこの景色を見たとき、
「ここは日本の原風景だ」と確信しました。
屋根が連なる構図は、まさに圧巻。
ここは必ず訪れてほしい場所です。
昼|名物ねぎそばで温まる
歩き終えた頃、体は自然と温かいものを求めます。
名物の「ねぎそば」。
一本のねぎを箸代わりにして食べる独特のスタイルは、話題性だけではありません。
実際に食べてみると、ねぎの辛みとそばの風味が絶妙に重なります。
複数の店があるため、混雑具合や店の雰囲気を見て選ぶのがおすすめ。
雪まつり期間中は待ち時間も想定して、少し早めの昼食が賢明です。
午後|文化に触れる時間
午後は民芸品店や土産物店を巡りながら、ゆっくりと町の空気を味わいます。
大内宿は“映える町”ではなく、“残ってきた町”。
郷土館では宿場町の歴史や生活文化を学べます。
背景を知ることで、景色の奥行きが変わります。
これは旅を深める上で、とても重要な要素です。
時間に余裕があれば、湯野上温泉で足湯や日帰り入浴も。
冷えた体を温めてから夕方へ備えるのが理想的な流れです。
夕方〜夜|雪まつりのクライマックス
夕方、空が群青色に染まり始めると、祭りの空気が高まります。
御神火の点火式。
ゆらめく炎が雪を照らし、町並みが橙色に染まる瞬間。
雪灯籠が並ぶ街道は、まるで光の回廊。
そして夜空を彩る花火。
雪が光を反射し、音が山に響く。
それは都市の花火大会とはまったく別の体験です。
日帰りでも十分に感動できます。
ただし、帰りの交通手段は事前確認を忘れずに。
🏡 宿泊プラン|“静寂”という贅沢を味わう
もし時間に余裕があるなら、迷わず宿泊を。
大内宿や周辺地域には民宿や旅館があり、
一泊することで旅はまったく違う表情を見せます。
夜のイベントが終わり、人が減ったあとの町並み。
雪に包まれた静寂の中を歩く体験は、日帰りでは味わえません。
足音だけが響く夜。
遠くで揺れる灯り。
その時間は、まるで自分だけの大内宿です。
僕は取材で宿泊した際、
朝焼けの大内宿を見ました。
人影のない茅葺き屋根に、朝日が差し込む。
あの光景は、今でも忘れられません。
翌日の広がり
翌日は周辺観光地へ。
会津若松まで足を伸ばせば、鶴ヶ城や武家屋敷など歴史巡りも可能です。
雪景色と温泉、歴史文化。
一泊するだけで、旅の厚みが増します。

※この画像はイメージです。
旅は“滞在時間”で決まる
日帰りは凝縮された感動。
宿泊は余白のある記憶。
どちらが正解ということはありません。
けれど僕が一つだけ言えるのは——
大内宿は、急がないほど美しい。
時間を味方につけた人だけが、
雪の奥にある本当の静けさに出会えます。
まとめ|白銀の宿場町で、心がほどける冬
大内宿雪まつりは、単なる冬のイベントではありません。
それは、日本の原風景に光が灯る二日間です。
茅葺き屋根の集落が雪化粧をまとい、
御神火の炎がゆらぎ、
夜空に咲く花火が白い大地に反射する。
その光景を、僕は何度見ても飽きることがありません。
なぜならそこには、観光地としての演出を超えた“本物の時間”が流れているからです。
昼は、雪に包まれた宿場町を歩きながら、江戸時代の面影に触れる。
軒先の氷柱、囲炉裏の煙、雪を踏む音。
そして温かい「ねぎそば」。
一本のねぎを箸代わりにすする体験は、話題性だけでなく、土地の文化そのもの。
冷えた体に沁みるあの湯気は、きっとあなたの記憶に長く残るはずです。
夕暮れからは、御神火と雪灯籠が町を幻想へと変え、
夜には花火が空を染める。
雪が光を受け止める瞬間。
あの静けさと迫力が同居する感覚は、都市の祭りでは味わえません。
2026年の冬。
もしあなたが、ただの観光ではなく“心に残る旅”を求めているなら。
防寒対策を万全にして、この白銀の世界へ足を運んでみてください。
寒さを超えた先にあるのは、
静けさと温もりが同時に存在する、特別な時間です。
白く包まれた茅葺き屋根の集落。
湯気を立てるねぎそば。
御神火の橙色。
夜空に広がる花火。
そのすべてが重なったとき、
あなたの旅は“体験”から“物語”へと変わります。
なお、2026年の正式な開催日程や詳細なアクセス情報については、必ず大内宿観光協会の公式サイトで最新情報をご確認ください。
雪国のイベントは天候によって変更が生じることもあります。
けれど。
日程を確認し、交通を調べ、防寒の準備を整えたその瞬間から、
あなたの旅はもう始まっています。
大内宿の冬が、
あなたにとって忘れられない一章になりますように。
白銀の世界で、お会いしましょう。

