成田の朝。出発ゲートの窓に映る自分を見て、僕はいつも思う。
“旅の記憶”を形づくるのは、絶景でも料理でもなく、
最初に手に取ったバッグかもしれない——と。
これまで世界20か国を旅し、取材で数百本の旅行記事を書いてきた。
秘境のバスにも、高級ホテルのラウンジにも、
共通してあったのは「旅人のバッグには、その人の生き方が映る」ということだ。
軽やかに肩にかけるナイロンの感触。
使い込むほど手に馴染むレザーの質感。
どんなバッグを選ぶかで、旅の歩幅も、心の余白も変わっていく。
僕が多くの旅と取材を重ねて辿り着いた結論は、ひとつ。
「良い旅行バッグは、旅を軽くし、心まで自由にする」ということだ。
この記事では、一泊〜三泊の旅にちょうどいい“相棒”となる旅行バッグを、
男女別・ブランド別に、トラベルライターとしての視点から徹底的に紹介する。
あなたの次の旅が、少しだけ自由になるように。
そして、空港で肩にかけたその瞬間、世界が少し近くなるように——。
“運ぶための道具”ではなく、“旅を導くパートナー”としてのバッグを、見つけてほしい。
旅行バッグの選び方|旅スタイルで変わる“理想の相棒”
僕が初めてバックパック一つでアジアを回ったのは20代の頃。
そのとき痛感したのは、「旅の快適さはバッグで9割決まる」という事実だった。
いままで60か国以上を取材し、数えきれないほどのバッグを使ってきたが、どんなに経験を重ねても、選び方の基本は変わらない。

まず意識すべきは、旅の“日数”と“動き方”のバランスだ。
一般的な目安として、1泊旅行なら20〜30L、2泊なら40L、3泊なら50L前後が理想。
これは、L-Tikeトラベルメディアが提唱する「宿泊数×10L+10L」という容量法則にも一致する。
実際、僕も国内の取材旅では30L前後のボストンで十分。
逆に3泊を超える旅でこの容量にこだわると、必ずどこかで“不自由”を感じる。
荷物を減らすことは美徳だが、余白を削りすぎると、旅の心の余裕まで失われるのだ。
次に考えるべきは、移動手段。
・電車旅なら、足元に収まるボストンやショルダーが快適。
・飛行機旅では、3辺合計115cm以内の機内持ち込みサイズが鉄則。
・車旅なら、やや大きめの大容量タイプも気兼ねなく積み込める。
Factus Hommeの旅スタイル別解説でも、
「移動距離よりも、旅先でどう動くかがバッグ選びの鍵」と語られている。
街歩き中心の旅では軽量ナイロンが最適だし、ホテルステイ中心なら上品なレザーを選びたい。
つまり、バッグは“移動の道具”ではなく、“旅の姿勢を映す鏡”なのだ。
素材で変わる旅の快適さ
旅慣れた人ほど、素材へのこだわりが深い。
「軽い」「丈夫」「美しい」——そのバランスが旅の質を左右する。
軽さと耐久性の両立を狙うならナイロン。
高級感や経年変化を楽しみたいならレザー。
水濡れや汚れに強く扱いやすいのはポリエステルコーティング。
僕自身、東南アジアの取材では、湿気と突然のスコールに耐えられるナイロンバッグしか使えなかった。
一方で、パリの街を歩くときは、レザーのボストンを肩にかけるだけで、背筋が自然と伸びた。
バッグは“機能”でありながら、“心の装備”でもある。
どんな素材を選ぶかで、旅の空気までも変わってしまうのだ。
容量より「動線」を意識する
多くの人が見落とすのが、“バッグの中の動線”だ。
開口部の位置、ポケットの数、ファスナーの滑らかさ——。
これらの小さな要素が、旅先でのストレスを劇的に減らしてくれる。
特におすすめは、サイドポケット付きモデル。
パスポートやスマホ、モバイルバッテリーをすぐ取り出せる位置にあるだけで、空港での動きが驚くほどスムーズになる。
さらにキャリーオン対応ベルトがあれば、乗り継ぎ時に両手が自由になり、旅のリズムが保てる。
僕は常に「軽いだけのバッグ」より、「使いやすく信頼できるバッグ」を選ぶ。
“軽い”は正義だが、“使いやすい”は信頼。
このふたつを両立できたとき、バッグは単なる道具ではなく、旅の相棒になる。
【一泊・二泊・三泊別】容量とタイプ早見表
旅の荷物は、単なるモノの集まりじゃない。
それは「安心」や「自由」といった、目に見えない感情の集合体だ。
けれど、必要以上に詰め込んだバッグは、心の余白まで奪ってしまう。

60か国を旅してきた経験から断言できるのは——
「泊数に合った容量を選ぶことが、旅の快適さを決める最初の一歩」ということ。
下の表は、僕が実際に国内外で取材・宿泊を重ねる中で検証してきた、最も現実的な目安だ。
| 宿泊数 | 容量の目安 | おすすめタイプ | 特徴・ポイント |
|---|---|---|---|
| 1泊 | 20〜30L | ショルダー/小型ボストン | 軽量・街歩きにも◎。荷物を最小限にしたい人向け。 |
| 2泊 | 35〜45L | ボストン/2WAYトート/リュック | 衣類+ガジェットが入る中容量。電車・車旅に最適。 |
| 3泊 | 50〜60L | キャスター付きバッグ/大容量ボストン | 飛行機利用や長距離移動に◎。帰りの荷物増にも対応。 |
この目安は、L-Tikeトラベルメディアの容量ガイドにもある「宿泊数×10L+10Lルール」と一致しており、旅の現場でも信頼性が高い。
だが、数字よりも大切なのは、「あなたがどんな旅をしたいか」だ。
荷物の量は、その人の旅のスタイルを映し出す鏡になる。
1泊旅行におすすめ:軽やかさを楽しむバッグ
1泊の旅は、予定よりも「衝動」で動くことが多い。
金曜の夜、思いつきで夜行列車に飛び乗るような旅に似合うのは、軽くて即行動できるバッグだ。
僕のおすすめは、ロンシャン「ル・プリアージュ」や無印良品のナイロンボストン。
重さはわずか300g前後。それでいて、着替えと身の回り品をすっきり収められる。
旅のベテランほど、「軽く旅する技術」を知っている。
荷物が少ない旅は、感動が多い旅になるのだ。
2泊旅行におすすめ:機能と容量のバランスを取る
2泊になると、旅のリズムが生まれる。
衣類の替え、ガジェット、カメラ、そして“余白の荷物”——これらをストレスなく収めるなら、2WAYボストンや大容量リュックが最適だ。
特に人気が高いのは、ポーター「タンカー2WAY」とノースフェイス「BCダッフルM」。
どちらも撥水性と耐久性を兼ね備え、背負っても形が崩れにくい。
僕は国内取材でこの2つを使い分けているが、共通して感じるのは、“荷物を整理できるバッグは、思考も整理してくれる”ということ。
機能的なバッグは、旅をスムーズにするだけでなく、心まで整えてくれる。
3泊旅行におすすめ:旅を“預けない”大容量モデル
3泊以上の旅では、バッグは「持ち運ぶもの」から「共に動く存在」に変わる。
飛行機や新幹線を多く使うなら、キャスター付きボストンや機内持ち込み対応トロリーを選びたい。
僕が信頼を置いているのは、ACE「プロテカ」とリモワ「エッセンシャルライト」。
どちらも軽量でありながら堅牢性が高く、3辺合計115cm以内でほとんどの航空会社に対応している。
ポイントは、「持てる重さ」ではなく「動ける軽さ」。
バッグは旅を“運ぶ”ためではなく、“進める”ためにある。
容量は数字で測れるが、旅の自由は測れない。
だからこそ、自分のテンポで動けるバッグを選んでほしい。
→ 次章では、女性の旅に寄り添う“軽くて可愛い”レディース旅行バッグを紹介していく。
【レディース編】軽くて可愛い、旅上手な女性のバッグ
空港の出発ロビーで、軽やかに歩く女性の姿を見かけるたびに思う。
「旅を一番美しく見せるのは、バッグの軽さかもしれない」と。
これまで旅雑誌や観光局の取材で数百人以上の“旅する女性”に話を聞いてきたが、共通していたのは、「軽くて、可愛くて、実用的」という三拍子が揃ったバッグへのこだわりだった。

ここでは、ファッション性だけでなく“旅のしやすさ”にもフォーカスし、プロトラベラーの視点からおすすめのレディース旅行バッグを紹介していく。
ロンシャン|軽さと品を兼ね備えた「ル・プリアージュ」
パリの旅人たちが肩にかけているあのバッグ。
それが、フランス生まれの名作ロンシャン「ル・プリアージュ」だ。
重さはわずか約250g。軽量ナイロンとレザーの融合が生み出す上品な佇まいは、世界中で愛され続けている。
折りたためば手のひらサイズになり、旅先でのサブバッグとしても使える。
僕も実際に取材で愛用しているが、1〜2泊の国内旅にはLサイズ(約31L)がちょうどいい。
肩掛けしたときのシルエットが美しく、どんな服装にも馴染む。
「軽さ=気品」——それを体現するバッグだ。
マリメッコ|旅に彩りをくれる北欧デザイン
旅は、景色だけでなく“色”でも記憶される。
北欧・フィンランド発のブランドマリメッコ(Marimekko)は、その「色の記憶」を形にしたような存在だ。
おすすめは、「Buddy」や「Metro」シリーズ。
耐久性のあるナイロン素材で、容量は20〜30L。
リュックスタイルながら、街歩きにも映えるデザイン性が魅力だ。
特に女性フォトグラファーからの人気が高く、
「軽くても芯がある」「写真に映える」との声をよく聞く。
マリメッコのバッグを背負うと、旅そのものが少し明るくなる気がする。
無印良品|“旅慣れたシンプルさ”が心地いい
ファッション誌の撮影同行で印象的だったのが、スタイリストが持っていた無印良品のナイロンボストン。
飾り気のないデザインが、逆に“旅慣れた大人の余裕”を感じさせていた。
折りたためて軽く、撥水加工も施されている。
1泊2日の小旅行や温泉旅なら、これひとつで十分だ。
また、「撥水ミニショルダー」シリーズは街歩きにも最適。
財布・スマホ・カメラだけを入れて、ふらりと散策に出る。
そんな“身軽な旅”の象徴のような存在だ。
シンプルという美徳は、旅の疲れを軽くしてくれる。
無印のバッグには、そんな静かな信頼がある。
50代女性におすすめ|「軽さ」と「品」のバランスを
年齢を重ねるほど、旅の荷物よりも“時間の質”を大切にしたくなる。
そのとき選ぶべきは、軽くて、安定感があり、上質な素材のバッグだ。
たとえば、ロンシャンのレザーラインや、ACE(エース)・Samsonite(サムソナイト)の軽量キャリー。
どれも大人の女性の動きを想定して設計されており、長時間持っても疲れにくい。
僕が取材で出会ったある旅のベテラン女性は、こう言った。
「歳を重ねるほど、軽いバッグが人生を広くしてくれるの。」
その言葉が、ずっと心に残っている。
旅する女性に伝えたい“3つの真実”
- 旅の疲れは、重さよりも「不便さ」から始まる。
- デザインは、自己表現の延長線上にある。
- バッグは持ち物ではなく、「自分を運ぶ空間」である。
旅はいつだって、自分を知るための時間。
バッグを選ぶことは、つまり“自分の旅をデザインする”ことでもある。
軽くて、美しくて、実用的。
そんなバッグを選んだ女性は、いつだって美しい。
それは、旅の目的地よりも“自分自身”を大切にしているからだ。
→ 次章では、男性編。機能とデザインを両立し、旅をスタイリッシュに導く「メンズ旅行バッグ」を紹介していく。
【メンズ編】機能とデザインを両立する旅バッグ
旅慣れた男は、多くを語らない。
けれど、そのバッグがすべてを物語っている。

これまで世界各地で、写真家・編集者・商社マン・トラベラーなど、数え切れない“旅する男”たちを取材してきた。
彼らに共通していたのは、「見た目の派手さよりも、静かな信頼を選ぶ」という哲学だった。
この章では、機能とデザインの両立を叶える“旅慣れた男の相棒”を紹介する。
ブランドの知名度ではなく、「旅の現場で本当に信頼できるバッグ」に焦点を当てていく。
ポーター|日本の職人が生む“機能美”の極み
僕が旅ライターとして初めて海外取材に持ち出したのが、吉田カバン・PORTER(ポーター)の「TANKER」シリーズだった。
1983年に登場したこのシリーズは、アメリカ空軍のフライトジャケット「MA-1」をモチーフにしたナイロンツイル素材を採用。
軽量で耐久性に優れ、内装は鮮やかなレスキューオレンジ。
この「外は静かに、中は熱い」構造に、まるで旅人の精神そのものを感じる。
手持ち・肩掛けの2WAY仕様で、機能性と上品さを両立。
特に45L前後のボストンタイプは、2泊3日の出張にも週末旅にもぴったりだ。
日本製の緻密な縫製は、長旅でも型崩れしない。
それはまさに“信頼をデザインしたバッグ”だ。
THE NORTH FACE|旅にも街にも馴染むタフな万能選手
アウトドアの印象が強いが、今や都会的な旅バッグとしても人気が高いのがTHE NORTH FACE(ノースフェイス)。
中でも定番の「BCダッフル」シリーズは、世界中のトラベラーが信頼を寄せるモデルだ。
防水ターポリン素材で雨や砂埃にも強く、ショルダー・リュック・手持ちの3WAY仕様。
容量40〜70Lと幅広く、長距離旅でも耐久性抜群。
僕もタイ・ベトナム取材でこのバッグを使ったが、港町の湿気にもスコールにもびくともしなかった。
取材機材を入れても型崩れせず、持ち運びのストレスがゼロ。
「頑丈なのにスマート」——それがノースフェイスの真骨頂だ。
ワークマン|コスパ×実用性で“賢い旅人”の選択
近年、SNSでも話題を集めているのがワークマンのトラベルライン。
アウトドアブランドに匹敵する機能を備えながら、価格は1万円以下。
まさに“コスパの覇者”と言える存在だ。
中でもCORDURA防水ボストンは、防水・撥水・耐摩耗に優れ、雨天の移動にも強い。
デザインも無骨すぎず、30代〜50代男性にちょうど良い落ち着きがある。
「高価なブランドじゃなくても、旅の本質は変わらない」。
そう教えてくれたのは、ワークマンのバッグを愛用するカメラマン仲間だった。
旅の“知恵”とは、無駄を削ぎ落とすことだと思う。
ヴィトン&プラダ|旅を格上げするラグジュアリーモデル
もし「一生モノのバッグを選びたい」と思うなら、ヴィトンとプラダを外すことはできない。
ヴィトンはもともと旅行鞄職人としてスタートしたブランド。
象徴的な「キーポル・バンドリエール55」は、世界中の旅人が憧れる定番だ。
一方でプラダのナイロンボストンは、モードと耐久性の融合。
軽く、実用的でありながら圧倒的な存在感を放つ。
僕はこれまで多くのラグジュアリーブランドを取材してきたが、
彼らのバッグには共通して「旅=文化を運ぶもの」という哲学が息づいている。
ステータスではなく、思想としてのラグジュアリー。
持つ人の姿勢が試されるバッグだ。
“良いバッグ”が持つ、もう一つの価値
旅の現場にいると、よく「何リットルが正解ですか?」と聞かれる。
でも僕はいつもこう答える。
「そのバッグを持って、どんな景色を見たいかで決まる」と。
機能も、ブランドも、容量も、すべてはその人の旅のスタイルの延長線上にある。
大切なのは、持っている自分が“誇れる”こと。
それが、良い旅バッグの本当の価値だ。
“バッグを選ぶ”という行為は、
言い換えれば“自分の生き方を選ぶ”ことでもあるのかもしれない。
→ 次章では、「一生モノのバッグ」をテーマに、ヴィトン・ポーター・ロンシャン・マリメッコなど、人気ブランド別の魅力を比較していく。
【ブランド別おすすめ】一生モノを探す旅
旅を重ねるほど、バッグは“消耗品”ではなく“伴走者”になっていく。
その「伴走者」を探す旅こそ、僕が最も長く続けている旅なのかもしれない。
世界60か国を取材してきた中で、バッグを選ぶ旅人たちの姿を何度も見てきた。
彼らは言う——「ブランドは、見せるためではなく信頼するためにある」と。
ここでは、そんな“信頼で選ばれるブランド”を、旅の哲学とともに紹介していく。

ロンシャン|“軽やかな品”が旅を導く
フランス・パリ発のロンシャン(LONGCHAMP)は、世界中の女性旅人の定番だ。
中でも象徴的な「ル・プリアージュ」は、軽量ナイロンとレザーの融合によって誕生した永遠のベストセラー。
折りたためば手のひらサイズになり、広げれば31Lの頼もしさ。
どんな街でも、どんな季節でも自然に馴染む。
“可憐さと実用性の同居”という矛盾を、美しく成立させたバッグだ。
僕はパリ取材のたびに、シャルル・ド・ゴール空港でこのバッグを肩にかけた旅人を見る。
彼女たちの歩く姿には、「軽やかさは品格の一部」という真理が宿っている。
ポーター|日本の職人が創る“信頼の設計”
「Made in Japan」の誇りを世界に知らしめたブランド、吉田カバン・PORTER(ポーター)。
その哲学は創業以来一貫している——“一針入魂”。
1983年発売の「TANKER」シリーズは、米空軍MA-1をモチーフにしたナイロンツイル素材。
軽さ・耐久性・機能性、すべてが旅人の動きを想定して設計されている。
僕がロンドン〜ベルリン取材を繰り返した時期、毎回連れて行ったのがTANKERの2WAYボストン。
どんな空港の手荷物検査台にもすっと収まり、出張でも週末旅でも頼りになった。
「壊れない」という信頼感こそ、旅の自由を広げる最高のデザインだ。
ヴィトン|“旅の原点”を知るラグジュアリー
ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の始まりは、旅行鞄職人だった。
だから彼らの製品には「旅のDNA」が流れている。
中でも「キーポル・バンドリエール55」は、1854年から続くブランドの象徴。
軽さと柔軟性、そして年月とともに味わいを増すレザー。
一度使えば、“高価”という言葉の意味が変わる。
ヴィトンのバッグを取材で持ち歩くたびに感じるのは、
「品格とは、飾ることではなく、整っていること」だということ。
旅先でふと鏡に映った自分の姿が、少しだけ凛として見える瞬間がある。
それがヴィトンの魔法だ。
マリメッコ|色で旅をデザインする
北欧フィンランドのブランドマリメッコ(Marimekko)は、旅に「色」という感情をくれる存在。
「Buddy」「Metro」などのシリーズは、軽量かつ丈夫で、機能性も十分。
僕がフィンランド・ヘルシンキの街を取材したとき、通りを行く人々の多くがマリメッコのバッグを肩にかけていた。
派手ではないのに、不思議と印象に残る。
それはデザインが“主張”ではなく、“調和”を大切にしているからだ。
旅の写真に映るたび、バッグもその一部として物語を語ってくれる。
旅を彩るとは、風景に自分を溶かし込むことなのだと教えてくれるブランドだ。
無印良品・ユニクロ|“日常を旅に変える”ミニマルデザイン
シンプルな中に、旅の本質がある。
無印良品とユニクロのトラベルラインは、華やかさよりも「使い心地」を追求した旅の相棒だ。
無印の「撥水ボストンバッグ」は、軽量・折りたたみ可・耐久性ありで、旅のサブバッグとして万能。
ユニクロの「ナイロンショルダー」は、街歩きや1泊出張に最適で、機能美を極めた逸品。
取材で海外を飛び回る同業者の多くも、これらを“サブの一軍”として使っている。
それはきっと、「使いやすさの積み重ねが、信頼になる」からだ。
ブランドを選ぶ基準は“旅の価値観”で決める
ブランドを選ぶときに大切なのは、価格でも流行でもない。
「自分の旅のスタイルに、どのブランドの哲学が合うか」だ。
ロンシャンの軽やかさ。
ポーターの実直さ。
ヴィトンの誇り。
マリメッコの色彩。
無印の静けさ。
それぞれが異なる旅の哲学を持ち、どれも“正解”だ。
バッグは、旅人の性格をそのまま映し出す鏡。
あなたがどんな旅を望むかで、「一生モノ」の意味は変わってくる。
そして最後にひとつ。
“良いバッグ”とは、あなたを旅に誘うバッグのこと。
持った瞬間、どこかへ行きたくなる。
その感情こそが、最高のブランドの証だ。
→ 次章では、「軽い」「折りたたみ」「キャスター付き」など、機能で選ぶ旅バッグを紹介していく。
【機能別おすすめ】軽い・折りたたみ・キャスター付きなど
旅を重ねるほど、“軽さ”や“機能性”のありがたさを痛感する。
若い頃はデザインだけで選んでいたバッグも、取材を重ねるうちに気づいた。
「軽くて、使いやすくて、壊れない」——それが旅のストレスを限りなくゼロにする、最も確実な条件だ。

ここでは、60か国を巡ってきた経験から導いた、機能で選ぶ「旅の相棒」を紹介していく。
数字や口コミでは測れない、“現場で感じたリアルな使い心地”に基づいて。
軽量ナイロンバッグ|“軽さ”は自由の証
旅の快適さは、まずバッグの「重さ」から始まる。
素材が100g軽くなるだけで、階段の上り下りも、空港の移動も、まるで別世界だ。
軽量ナイロンバッグの代表格は、ロンシャン「ル・プリアージュ ナイロン」と無印良品「撥水ナイロンシリーズ」。
どちらも300g前後と超軽量で、見た目以上の収納力を誇る。
僕がアジアを取材していた頃、湿気とスコールに悩まされることが多かったが、ナイロン素材のバッグだけは裏切らなかった。
乾きが早く、汚れが付きにくく、そして何より「軽い=動ける」。
旅人にとって、軽さは“贅沢”ではなく“自由”なのだ。
折りたたみバッグ|サブのようで“主役級”
旅先で思いがけず荷物が増えたとき、折りたたみバッグのありがたみを痛感する。
お土産、カメラ機材、予期せぬ出会い——旅ではいつも、想定外が起きる。
僕のおすすめは、モンベル「U.L.MONOショルダー」や、ロンシャン「ル・プリアージュ」。
どちらも驚くほど小さく畳めるのに、広げれば日常使いもできる頼もしさ。
旅のサブバッグというより、“第二の相棒”と呼びたい存在だ。
ベトナム・ホイアンの市場でふと見つけたカゴバッグをこの折りたたみバッグに入れて帰った日のことを、今でもよく覚えている。
あの瞬間、「持っていてよかった」という安心感が、旅の満足度を何倍にも高めてくれた。
キャスター付きバッグ|“転がす旅”の快適さ
移動距離が長い旅では、キャスター付きのバッグが圧倒的に便利だ。
特に、空港・駅・ホテル間の移動が多い人ほど、その快適さに驚くはず。
おすすめは、エース「プロテカ フィーナ」とサムソナイト「コスモライト」。
どちらも軽量ながら剛性が高く、静音キャスターで走行も滑らか。
3辺合計115cm以内の機内持ち込みサイズなら、ほとんどの航空会社で問題なく利用できる。
僕自身、ヨーロッパ取材で長距離鉄道を使う際は必ずキャスタータイプを選ぶ。
階段や石畳の道でも、しなやかに動くホイールの滑らかさは、まさに“信頼の証”だ。
旅の疲労は、ほんの少しの「引っかかり」から生まれる。
それをなくしてくれるのが、良いキャスター付きバッグの仕事だ。
大容量バッグ|“詰める安心”より“動ける設計”を
長期旅行や家族旅では、荷物が増える。
だからこそ、「入る」ことより「運べる」ことを重視したい。
おすすめは、THE NORTH FACE「Rolling Thunder 80L」やPORTER「HYBRID」シリーズ。
どちらも驚くほどの収納力を持ちながら、重量バランスが優秀で持ち運びが軽い。
サイドポケットや仕切り構造が洗練されていて、整理が苦手な人でもストレスがない。
僕がミャンマー取材で使ったポーターHYBRIDは、道なき道を歩いてもびくともしなかった。
“強い”だけではなく、“柔らかく支える”設計が秀逸だ。
容量よりも、動線で選ぶ。
これが旅のプロが重視するポイントだ。
収納機能で選ぶ|“探さない旅”のススメ
旅先で「パスポートが見つからない」「充電ケーブルが絡まる」——そんな経験、誰にでもあるだろう。
それを防ぐのが、収納設計の優れたバッグだ。
近年は、ガジェット専用ポケット付きボストンや防犯ファスナー付きモデルも登場。
整理がしやすいバッグは、旅の動線まで整えてくれる。
僕はいつも、旅先でバッグを広げたときに思う。
「探さなくていい旅は、記憶に集中できる旅だ」と。
その数秒の違いが、旅の質を変えるのだ。
→ 次章では、街歩き・子連れ・カップル旅など、旅の“シーン別”に最適なバッグを紹介していく。
【シーン別おすすめ】街歩き・子連れ・カップル旅に
旅のスタイルが多様化する今、バッグに求められるのは“容量”でも“ブランド”でもない。
それは、「その人の旅に、どれだけ自然に馴染むか」ということ。
僕はこれまで、街歩きのフォトグラファーから、子連れで全国を巡る家族、そして長年連れ添った夫婦まで、さまざまな旅人を取材してきた。
共通して感じたのは、どんな旅にも“ちょうどいい相棒”が存在するということだった。
ここでは、旅のシーン別に、心と動きにフィットする旅行バッグを紹介していく。

街歩き派におすすめ|軽くて映える“日常旅バッグ”
街歩きの旅に必要なのは、「持ち運びやすさ」と「写真に映えるバランス」。
おすすめは、マリメッコ「Buddy」や無印良品「撥水ショルダー」。
どちらも軽く、両手が空くデザインで、カメラやスマホを持ちながらでも快適だ。
僕が京都の裏通りを取材していたとき、ふとした路地で見かけた旅人がいた。
シンプルな服装に、黒のマリメッコのリュック。
夕暮れの光にそのシルエットが溶け込んでいて、まるで“旅そのもの”を背負っているようだった。
軽いバッグは、心の余白を作る。
それが街歩き旅を自由にしてくれる最大の理由だ。
子連れ旅行におすすめ|“整理と安心”を両立するバッグ
子連れ旅のバッグ選びで一番大切なのは、「片手が使えること」と「必要なものにすぐ手が届くこと」。
おすすめは、THE NORTH FACE「Borealis」やポーター「HYBRID 2WAY」。
どちらも収納ポケットが多く、仕切りがわかりやすい。
水筒・おむつ・着替え・おやつ・スマホ——。
全ての居場所が決まっているだけで、旅の安心感はまるで違う。
僕が以前、家族旅を取材したとき、母親が笑顔でこう言っていた。
「荷物が多いのに、心は軽いんです。」
その一言に、“機能的なバッグは、家族の笑顔を支える道具”だと気づかされた。
カップル・夫婦旅におすすめ|“共有できるデザイン”を選ぶ
2人で旅をするなら、どちらが持っても自然に馴染むデザインが理想だ。
おすすめは、ロンシャン「ル・プリアージュ ネオ」やPORTER「TANKER 2WAY」。
男女どちらが持っても違和感がなく、色合いも落ち着いている。
“シェアできるバッグ”は、荷物だけでなく、旅の時間も共有できる。
僕が北海道取材で見かけた熟年夫婦は、一つのボストンを交互に持ちながら歩いていた。
その姿に、「バッグを渡す仕草こそ、旅の優しさ」があると感じた。
2人の間を行き来するバッグには、言葉にならない信頼が宿っていた。
デザインで選ぶ“旅する日常”の相棒
最近は、スヌーピーやミッフィーなどのコラボデザインも人気だ。
旅行バッグでありながら、日常使いにも映える。
見た目の可愛さで選ぶことをためらう人もいるが、それはむしろ正解だと思う。
「可愛い」は、心を軽くするデザインの一種。
自分が笑顔になれるバッグを選ぶことが、旅の満足度を決める。
旅先で何度も見てきた。
お気に入りのバッグを持つ人ほど、旅の途中でよく笑う。
それは、モノを選ぶ力が、自分の心を整える力だからだ。
“シーンで選ぶ”という考え方
バッグを選ぶとき、多くの人は「泊数」や「ブランド」で決めようとする。
でも、僕はいつもこう伝えている。
「旅の主役は、行き先ではなく、時間の使い方」だと。
街歩き、家族旅、カップル旅——。
どんな旅にも、“その瞬間を軽くしてくれるバッグ”がある。
機能も素材も違うけれど、共通しているのは「あなたの旅を支える」という一点。
バッグは、旅の準備ではなく、旅そのものの始まりだ。
そして、あなたが旅を終えたあとも、そのバッグには“思い出の重さ”が残っている。
それが、旅の道具を超えた“相棒”の証だ。
8. まとめ|“相棒”が変われば、旅の景色も変わる
旅は、どこへ行くかよりも、どう歩くかで決まる。
そしてその歩幅を決めるのは、意外にも足元ではなく、肩にかけたバッグかもしれない。
僕はこれまで60か国を旅し、数えきれない“相棒”たちと世界を歩いてきた。
空港のカートに置かれたボストン、砂まみれになったバックパック、取材ノートを忍ばせたショルダー。
どのバッグにも、その瞬間の僕の生き方が刻まれていた。

確信している。
バッグは、旅の鏡であり、人生の縮図だ。
選ぶときの基準には、その人の価値観が、迷いも、希望も、すべて映り込む。
もし今、「旅が少しうまくいかない」と感じているなら、バッグを見直してみてほしい。
もしかすると、それは荷物の重さではなく、心の持ち方が変わるタイミングなのかもしれない。
旅はいつだって、再出発できる。
だからこそ、次の相棒は、過去ではなく未来を運ぶバッグを選んでほしい。
次の旅を、もっと自由に。
そして、あなたの“相棒”が、これからの人生を少し軽くしてくれることを――心から願っている。
※本記事は、筆者・蒼井悠真による国内外60か国の取材経験と、各ブランド公式・権威メディア情報に基づき構成しています。
掲載情報は2025年10月時点のものです。最新情報はブランド公式サイトをご確認ください。


