シャッターを切る音が、
こんなにも静かに響く夜がある。
雪を踏みしめる音さえ、
どこか遠慮がちで、
夜そのものが、息を潜めているようだった。
湯西川温泉かまくら祭りは、
本来なら「写真を撮るため」に訪れる場所だと思う。
実際、僕自身も最初はそうだった。
どんな構図で撮ろうか。
どの時間帯が一番きれいか。
頭の中では、そんなことばかり考えていた。
けれど、現地に立った瞬間、
何度も、足が止まった。
光は、たしかにそこにある。
レンズを向ければ、きっときれいに写る。
それなのに、
撮るより先に、感じてしまう夜が、ここにはあった。
川沿いに並ぶ小さな灯り。
かまくらの中に溜まる、やわらかな橙色。
その一つひとつが、
「急がなくていい」と語りかけてくる。
旅先で、予定通りに動けなくなる瞬間がある。
でもそれは、失敗ではない。
むしろ、その場所が本物だった証拠だと、僕は思っている。
それでも、やっぱり残したくなる。
帰ってから、何度も見返したくなる夜だった。
SNSに載せるためでも、
誰かに見せるためでもなく、
自分の記憶を確かめるための写真が、必要になる夜。
僕はこれまで、国内外で数え切れないほどの夜景や灯りを撮ってきた。
けれど、「静かさ」まで写し込みたくなった場所は、そう多くない。
だからこの記事では、
闇雲にスポットを並べることはしなかった。
観光パンフレットに載っている場所でも、
「実際に立って、シャッターを切り、
それでももう一度立ち止まってしまった場所」だけを選んだ。
「本当に写真が映えた場所」というのは、
光が強かった場所でも、
人が集まっていた場所でもない。
撮ったあとに、
「この時間を、ちゃんと覚えていたい」と思えた場所だ。
これから紹介するスポットは、
すべて僕自身が歩き、
寒さで指先がかじかむ中で、
それでもシャッターを切りたくなった場所ばかり。
もしあなたが、
「うまく撮れるか」よりも、
「ちゃんと心に残したい」と思っているなら、
この先は、きっと役に立つ。
写真は、技術だけでは完成しない。
どこで立ち止まり、
どの順番で夜を歩くかで、
写るものは、驚くほど変わる。
さあ、
シャッターを切る前に、立ち止まってしまった夜を、
ひとつずつ、辿っていこう。
写真を撮る前に知っておきたい3つのこと
いきなりシャッターを切りたくなる気持ちは、よくわかる。
目の前に灯りが並び、雪が舞っていれば、
「とりあえず一枚」と手が動いてしまうものだ。
でも、
湯西川温泉かまくら祭りの夜は、
準備の差が、そのまま写真の差になる。
ここでは、カメラの難しい話はしない。
僕自身が何度も現地で失敗し、
「次はこうしよう」と積み重ねてきた、
本当に大切な前提だけを話したい。
① ベストな時間帯は「日没直後」
この祭りを撮るうえで、
もっとも大切なのが、時間帯だ。
結論から言うと、
日没直後から19時頃まで。
この短い時間が、すべてを決める。
空に、わずかに青が残る頃。
完全な夜になる一歩手前。
この時間帯は、灯りが主張しすぎず、
雪の白さも、きちんと階調を保ってくれる。
何度か訪れて感じたのは、
この時間を外すと、取り戻すのが難しいということだ。
少し早ければ、灯りが弱く見える。
少し遅ければ、写真は一気に難しくなる。
だからこそ、
「日没前に現地にいる」ことが何より大切だ。
旅程を組むときは、
観光地の数より、
この時間にどこに立っているかを優先してほしい。
② 暗くなりすぎると、難しくなる
夜景と聞くと、
「暗いほど雰囲気が出る」と思われがちだ。
でも、かまくら祭りの灯りは、
決して強い光ではない。
だから暗くなりすぎると、
写真の中で、簡単にバランスを崩してしまう。
具体的には、
灯りは白く飛び、
雪は重く沈み、
本来あるはずの柔らかさが失われる。
これは、カメラの性能の問題ではない。
光の量そのものが足りなくなるからだ。
「あとで補正すればいい」
そう思うかもしれない。
でも、この夜の魅力は、
後処理で作れるものではない。
現地で、ちょうどいい明るさのうちに、
ちゃんと撮っておく。
それが、結果的に一番きれいな写真になる。
③ スマホで十分、むしろ相性がいい
「一眼レフじゃないと厳しいですか?」
現地で、何度か聞かれたことがある。
答えは、はっきりしている。
スマホで十分。むしろ相性がいい。

最近のスマートフォンのナイトモードは、
この程度の暗さと、
点在する灯りを写すのが、とても上手だ。
しかも、
重たい機材を構える必要がない分、
「立ち止まる」「待つ」「感じる」
この夜に必要な余白が生まれる。
僕自身、
一眼レフとスマホ、両方で撮ってきたが、
「この夜らしさ」が残るのは、
スマホで撮った写真のほうだった。
ナイトモードをONにして、
露出を少し下げる。
それだけで、灯りは白飛びせず、
雪の質感も、ちゃんと残る。
高価な機材がなくてもいい。
大切なのは、
この夜に合った距離感で向き合うことだ。
この3つを知っているだけで、
写真の成功率は、驚くほど変わる。
次はいよいよ、
「どこで立ち止まればいいか」の話をしよう。
湯西川温泉かまくら祭りは、
場所選びで、夜の印象が大きく変わる。
ここからは、
僕が実際に歩き、
シャッターを切る前に、
思わず足を止めてしまった場所だけを紹介する。
湯西川温泉かまくら祭り 写真映えスポット7選
どこでシャッターを切るかで、
この夜の記憶は、まったく別のものになる。
湯西川温泉かまくら祭りは、
会場全体が美しく見える反面、
「どこで撮っても同じ」ように感じてしまうことがある。
けれど実際には、
ほんの数メートル立ち位置を変えるだけで、
光の重なり方も、
雪の表情も、
写真の温度さえ変わる夜だ。
僕自身、初めて訪れたときは、
人の多い場所で、
ただ闇雲にシャッターを切っていた。
それでも何度か通い、
「なぜここで足が止まるのか」
「なぜここで、もう一枚撮りたくなるのか」
そう考えながら歩くようになってから、
写真の残り方が変わった。
ここで紹介する7つのスポットは、
観光パンフレットに載っている順番でも、
人が集まる順番でもない。

実際に立ち、シャッターを切り、
それでもなお立ち止まってしまった場所。
そんな基準で選んだ場所だけを集めた。
うまく撮ることより、
ちゃんと残すことを大切にしたい人へ。
これから紹介する7つの場所は、
きっとあなたの夜を、
少しだけ、深くしてくれる。
① 沢口河川敷|ミニかまくら群(王道・最重要スポット)
初めて湯西川温泉かまくら祭りを訪れた夜、
僕はこの場所で、しばらく立ち尽くしてしまった。
沢口河川敷に並ぶミニかまくらは、
ガイドブックや写真で何度も見てきたはずの光景だ。
それでも、実際に目の前にすると、
「知っている景色」とはまったく別のものに感じられた。
川沿いに続く小さな灯り。
ひとつひとつは控えめなのに、
連なった瞬間、夜そのものを照らし始める。
ここで写真を撮るとき、
多くの人がやってしまうのが、真正面から構えることだ。
でも、それではこの場所の本当の魅力は写りきらない。
おすすめは、川の流れに沿って少し斜めに立つこと。
視線を低くし、かまくらの連なりを意識する。
それだけで、写真の中に「奥行き」と「静けさ」が生まれる。
ベストタイムは日没直後から18時半頃。
空にわずかに残る青と、かまくらの橙色が重なる時間帯だ。
この短い時間こそが、沢口河川敷がもっとも美しくなる瞬間だと思っている。
② 沢口河川敷|橋の上からの俯瞰アングル
もし橋を見つけたら、
ぜひ一度、立ち止まってほしい。
沢口河川敷のミニかまくらは、
上から見下ろしたときに、初めて完成する表情がある。
地上では「点」に見えていた灯りが、
橋の上からだと、一本の光の流れになる。
川に沿って続くそのラインは、
写真というより、夜景に近い。
スマートフォンで撮る場合は、
手すりに肘を預けて、体を固定するだけで十分だ。
三脚がなくても、ブレは驚くほど抑えられる。
人が多い時間帯でも、焦らなくていい。
必ず、一瞬だけ視界が開くタイミングが訪れる。
その一瞬を待つ余裕が、写真の完成度を分けてくれる。
③ 平家の里|竹灯り(平家あかり)
沢口河川敷の賑わいから少し離れると、
空気が変わる場所がある。
それが、平家の里だ。
竹灯りが並ぶ小径に足を踏み入れた瞬間、
音がひとつ、消えたように感じた。
雪を踏む音と、自分の呼吸だけが残る。
ここでおすすめしたいのは、縦構図。
小径の奥へと続く灯りを意識すると、
写真の中に自然な奥行きが生まれる。
派手に撮る必要はない。
むしろ、余白を残したほうが、この場所の良さは伝わる。
色数が少ないからこそ、
写真は驚くほど静かに仕上がる。
SNSで「映える」という言葉が似合わない、
でも、後から何度も見返したくなる。
平家あかりは、そんな被写体だ。
④ 平家の里|茅葺屋根 × 雪 × 灯り
茅葺屋根に雪が積もった姿を見ると、
「ああ、日本の冬だな」と、自然に思う。
平家の里では、
建物そのものが、すでに完成された被写体だ。
灯りは主役にしすぎず、あくまで脇役として添える。
フラッシュは使わない。
少し暗いかな、と思うくらいがちょうどいい。
そのほうが、時間の重みや、夜の静けさが残る。
観光写真を撮るつもりでシャッターを切ると、
きっと物足りなく感じる。
ここでは、「記録」ではなく記憶を残す意識で。
⑤ かまくら内部|灯り越しの人物シルエット
人物を写真に入れるのが苦手、という人ほど、
この撮り方を試してほしい。
かまくらの中に入り、
灯り越しに立つ人のシルエットだけを写す。
顔は写さなくていい。
むしろ、写さないほうがいい。
後ろ姿や横顔の影だけで、
写真には自然と物語が生まれる。
一人旅でも、カップルでも、
この構図は驚くほどよく似合う。
「誰が写っているか」より、
「どんな時間だったか」が伝わる。
それが、いい旅写真だと、僕は思っている。
⑥ 会場からの帰り道|雪道と足跡の余韻カット
実は、いちばん好きなシャッターチャンスは、
会場を出たあとの帰り道だ。
人が引いた雪道に残る足跡。
遠くに見える、いくつかの灯り。
派手さはないけれど、
この夜の余韻が、そのまま残っている。
写真を見返したとき、
思い出が一番鮮明によみがえるのは、
案外、こういう一枚だったりする。
「帰りたくない夜」を、
そのまま閉じ込めておける場所だ。
⑦ 温泉宿|雪見露天風呂(宿泊者限定)
もし宿泊するなら、
最後に訪れるべき場所は、やはり雪見露天風呂だ。
湯気の向こうに舞う雪。
外の音が、ほとんど聞こえない静けさ。
この時間は、写真を撮らなくてもいい。
撮影する場合は、必ず宿のルールを最優先に。
無理に残さなくても、この景色は、
記憶の中に、ちゃんと残る。
湯西川温泉かまくら祭りは、
ここまで来て、ようやく静かに終わる。
写真映えの黄金時間|迷ったら、ここだけ覚えて
湯西川温泉かまくら祭りで、
「いつ撮ればいいのか」と迷ったら、
難しく考えなくていい。
日没直後〜19時頃。
この時間帯だけ、覚えておいてほしい。
僕自身、これまで何度もこの夜を歩いてきたが、
写真の成功率が、
圧倒的に高いのが、この短い時間だ。
空が、完全な黒になる少し前。
昼と夜の境目が、まだ残っている時間。
このわずかな青みが、
かまくらの灯りを、いちばん美しく引き立ててくれる。
暗闇だけになってしまうと、
灯りは白く飛びやすく、
雪は、ただの白い塊になってしまう。
でも、日没直後なら、
灯りには輪郭が残り、
雪には、凹凸と奥行きが生まれる。
これは、カメラの性能の差ではない。
光のバランスそのものが、一番整う時間帯だからだ。
特にスマートフォンで撮る場合、
この時間帯は、もっとも失敗しにくい。
無理に補正をしなくても、
夜の空気感が、そのまま写ってくれる。
- ナイトモードをONにする
この夜において、
ナイトモードは、頼れる相棒だ。
灯りを無理に強調せず、
雪景色を、やさしく持ち上げてくれる。
夜を夜のまま残したいなら、
まずはONにしておいて間違いない。
- 露出は少し下げる(−0.3〜−0.7)
オート任せにすると、
どうしても「明るすぎる夜」になりやすい。
ほんの少し暗くするだけで、
灯りの白飛びが抑えられ、
雪の質感が、きちんと残る。
「暗いかな?」と感じるくらいで、
写真としては、ちょうどいい。
- 手すりや壁を即席三脚として使う
ナイトモード最大の敵は、手ブレだ。
でも、三脚を持ち歩く必要はない。
橋の手すり、
柵、
低い石の縁。
少し身体を預けられる場所は、必ずある。
肘や手首を固定するだけで、
写真の安定感は、驚くほど変わる。
この三つだけで、
写真は本当に、見違える。
特別な技術も、
高価な機材もいらない。
この夜に合った時間と向き合い方を知っているかどうか、
それだけだ。
そして何より、
撮ることに夢中になりすぎないでほしい。
シャッターを切る前に、
一度、立ち止まって、
灯りの数や、雪の音に、耳を澄ませてみてほしい。
湯西川温泉かまくら祭りの夜は、
写真を撮るためだけの場所ではない。
感じるためにある夜だ。
その感覚が残っていれば、
写真は、あとからついてくる。
スマホでも失敗しない夜景撮影のコツ
「ちゃんと撮れるだろうか」
夜の会場に立った瞬間、
そう思った人は、きっと少なくない。
雪、暗さ、灯り。
条件だけを並べれば、
夜景撮影としては、決してやさしい環境ではない。
でも、はっきり言っておきたい。
湯西川温泉かまくら祭りは、スマホで十分だ。
いや、むしろスマホのほうが、この夜に合っている。
僕自身、仕事柄、一眼レフもミラーレスも使ってきた。
けれど、この祭りの夜で
「あとから何度も見返したくなった写真」は、
不思議とスマホで撮ったものが多い。
理由はシンプルだ。
スマホは、この夜に必要なことだけを、
過不足なくやってくれる。
難しい設定はいらない。
三脚も、高価なレンズもいらない。
必要なのは、
夜と、ちゃんと向き合うための、いくつかのコツだけだ。
- ナイトモードをONにする
まずは、これだけでいい。
最近のスマホのナイトモードは、
点在する灯りと雪景色を写すのが、驚くほど上手だ。
無理に明るくしようとせず、
夜の空気を夜のまま残してくれる。
この祭りにとって、それが何より大切だ。
- 露出を少し下げる(−0.3〜−0.7)
次に意識したいのが、露出だ。
オートに任せると、
灯りは白く飛び、雪はのっぺりしやすい。
ほんの少し暗めにするだけで、
灯りの輪郭が残り、
雪の質感も、ちゃんと写ってくる。
「暗いかな?」と感じるくらいで、ちょうどいい。
夜景は、明るさより、雰囲気だ。
- 手すりや橋を三脚代わりに使う
ナイトモードで一番の敵は、手ブレだ。
とはいえ、三脚を持ち歩く必要はない。
橋の手すり、
柵、
低い石の縁。
少し身体を預けられる場所は、必ず見つかる。
肘を固定するだけで、
写真の安定感は、驚くほど変わる。
- 指先が出る手袋を選ぶ
これは、意外と見落とされがちだが、
かなり重要だ。
寒さで指先が動かなくなると、
操作が雑になり、
シャッターを切ること自体が、億劫になる。
指先が出る手袋なら、
寒さを防ぎつつ、
スマホ操作もスムーズにできる。
結果的に、
「もう一枚撮ろう」という余裕が生まれる。
特別な機材はいらない。
知識を詰め込む必要もない。
この夜に必要なのは、
少し立ち止まって、少し工夫することだけだ。
うまく撮ろうとしなくていい。
きれいに残そうと、力を入れすぎなくていい。
夜は、ちゃんとそこにある。
あとは、それを壊さない距離で、
そっとシャッターを切ればいい。
次は、
「どこで立ち止まると、この夜が一番きれいに残るのか」
その話をしよう。
写真より、記憶に残る一枚を
湯西川温泉かまくら祭りは、
たしかに「映える写真」を撮る場所だ。
雪と灯り。
それだけで、十分すぎるほど美しい。
シャッターを切れば、
誰でもそれなりの一枚は残せる。
でも、この夜の本質は、
そこにはない。
歩いているうちに、
気づけば足が止まり、
なぜか、スマホを下ろしてしまう瞬間がある。
心が、静かになる夜。
湯西川温泉かまくら祭りは、
そんな時間を、いくつも用意してくれる。
シャッターを切ったあと、
すぐに次の写真を撮る気になれず、
しばらく画面を閉じられなくなる。
「ちゃんと残っているだろうか」
そんな確認というより、
今見た光や、感じた寒さを、
もう一度なぞっているような感覚。
僕はこれまで、
仕事として、数えきれないほどの景色を撮ってきた。
けれど、あとから鮮明に思い出せるのは、
いつも、写真の枚数が少なかった夜だ。
たくさん撮った夜より、
数枚しか撮らなかった夜のほうが、
不思議と、記憶に残っている。
それはきっと、
「うまく撮ろう」とする時間より、
「感じていた時間」のほうが長かったからだ。
この記事で紹介したスポットや時間帯、
撮影のコツは、
すべて失敗しないための道具にすぎない。
一番大切なのは、
その道具を使って、
どんな夜を過ごしたかだ。
すべてを回らなくてもいい。
完璧な構図が撮れなくてもいい。
シャッターを切ったあと、
「もう一度、この夜を思い出したい」
そう思える一枚があれば、
この旅は、もう十分だ。
湯西川温泉かまくら祭りは、
写真の上手さを競う場所ではない。
記憶に残る夜を、
そっと一枚に閉じ込める場所だ。
その一枚が、
何年か先の冬に、
ふと、あなたをこの夜へ連れ戻してくれる。
それだけで、
旅は、ちゃんと意味を持つ。
湯西川温泉かまくら祭りの宿泊付きツアーガイド
夜の灯りを見終えたあと、
「さて、どうやって帰ろうか」と考えてしまったなら、
その旅は、まだ途中だ。
湯西川温泉かまくら祭りは、
見て終わるための場所ではない。
雪の夜をそのまま抱えたまま、
温泉に浸かり、
静かな布団に身体を沈める。
それができて、はじめて――
この祭りは、旅になる。
なぜ、湯西川温泉かまくら祭りは「宿泊付きツアー」が正解なのか
この祭りの夜は、
想像以上に、深く、静かだ。
雪道、凍結、暗い山道。
帰りのことを考えた瞬間、
せっかくの余韻は、現実に引き戻されてしまう。
宿泊付きツアーなら、
灯りを見終えたあと、
そのまま宿へ。
夜を夜のまま終えられる。
これは、泊まる人だけが味わえる贅沢だ。
宿泊付きツアーで使われる宿には、理由がある
ツアーで利用される宿は、
「無難」だから選ばれているわけではない。
- 大型バスが無理なく横付けできる
- 団体対応の経験が豊富
- 温泉と食事の満足度が安定している
- 夜の移動を最小限にできる
部屋からの景色より、
大切なのは、夜の流れを壊さないこと。
【おすすめ宿①】本家伴久|囲炉裏と雪に包まれる夜
「湯西川らしさ」を求めるなら、
本家伴久は外せない。
囲炉裏料理、
雪に包まれた渓谷、
古き良き日本旅館の空気。
ここで過ごす夜は、
かまくら祭りの続きそのものだ。
カップルや夫婦、
雰囲気と物語性を大切にしたい人に、
よく似合う宿だ。
【おすすめ宿②】花と華|「失敗しない」安心感
初めて宿泊付きツアーを選ぶなら、
花と華は、とても頼もしい。
客室数が多く、
大浴場・露天風呂も広い。
団体受け入れの経験が豊富で、
動線もわかりやすい。
高齢者や三世代旅行、
「安心して泊まりたい」人にとって、
これ以上ない選択だ。
【おすすめ宿③】白雲の宿 山城屋|静けさを選ぶ夜
派手さより、
静かさを大切にしたい人には、
白雲の宿 山城屋。
比較的リーズナブルで、
落ち着いた雰囲気。
一人参加や、
少人数ツアーとの相性もいい。
「今日は、もう何も足さなくていい」
そんな夜に、ちょうどいい宿だ。
宿泊付きツアー×宿選びで、後悔しないために
宿を探しているとき、
つい最初に目が行くのは、
部屋の写真や、広さ、
「眺望あり」「露天風呂付き」といった言葉かもしれない。
それは、自然なことだ。
旅先の宿は、できるだけ快適で、
できるだけ特別であってほしい。
でも、湯西川温泉かまくら祭りに関して言えば、
僕はいつも、少し違う視点で宿を見るようにしている。
この旅で本当に大切なのは、
「どんな部屋か」より、
「夜がどう終わるか」だからだ。
かまくらの灯りを見終えたあと、
身体は、思っている以上に冷えている。
足元には雪が残り、
外は、もう完全な夜だ。
そのとき、
「ここからまた移動か」と思うか、
「このまま、宿に帰れる」と思えるかで、
夜の印象は、大きく変わる。
僕自身、これまで何度も、
宿泊付きツアーや個人手配で湯西川を訪れてきたが、
満足度が高かった夜には、共通点があった。
それが、次の三つだ。
- 会場から宿まで、無理のない移動であること
- 送迎が確実に用意されていること
- 戻ったら、すぐ温泉に入れること
この三つが揃っているだけで、
夜は、驚くほど静かに、美しく終わる。
逆に言えば、
どれか一つ欠けていると、
どんなに立派な部屋でも、
どこか落ち着かない夜になる。
特に冬の湯西川は、
距離の感覚が、夏とはまったく違う。
地図上では近く見えても、
雪道と暗さが、その数分を長く感じさせる。
だからこそ、
「送迎あり」「ツアー利用実績あり」といった条件は、
単なるサービスではなく、
夜を壊さないための装置だと思っている。
そしてもう一つ。
戻ってすぐ温泉に入れる、というのは、
想像以上に大きな価値がある。
冷えた身体を、
考えごとをする前に、
そのまま湯に預けられる。
それだけで、夜は一気に、旅の時間に変わる。
部屋の広さや、
写真の華やかさは、
あとからでも確認できる。
でも、
「灯りを見たあと、どう過ごしたか」は、
その夜にしか決められない。
宿泊付きツアーで宿を選ぶというのは、
豪華さを選ぶことではない。
夜を、きれいに終わらせる選択だ。
この三つが揃っていれば、
細かい条件に、神経質になる必要はない。
夜は、ちゃんと静かに終わり、
布団に入ったとき、
「ああ、いい夜だった」と思える。
それができたなら、
この旅は、きっと後悔しない。
料金相場と、含まれる内容【例年目安】
宿泊付きツアーの料金は、
例年25,000〜40,000円前後。
多くの場合、以下が含まれている。
- 往復バス代
- 宿泊(1泊2食)
- かまくら祭り見学
- 観光地立ち寄り
個人手配と比べると、
「考えなくていい分の価値」が、確かにある。
まとめ|夜を味わうための、ただ一つの選択
湯西川温泉かまくら祭りは、
日帰りでも見ることはできる。
灯りも、雪も、写真も、きっと残せる。
けれど、
この祭りを「旅」として心に残すなら、
僕ははっきりと言いたい。
泊まってこそ、静かに完成する場所だと。
灯りを見終えたあと、
「さて、帰ろうか」と考えた瞬間、
夜は、少しだけ現実に引き戻されてしまう。
雪道、時刻表、帰りの心配。
それらが頭をよぎると、
せっかくの余韻は、どうしても薄れてしまう。
でも、宿泊していれば違う。
かまくらの灯りを見て、
そのまま宿に戻り、
上着を脱ぐより先に、温泉に浸かる。
冷えた身体が、
ゆっくりとほどけていく感覚。
さっきまで見ていた灯りが、
湯気の向こうに、ふっと浮かぶ。
何も考えずに眠れる夜は、
それだけで、贅沢だ。
僕自身、これまで数えきれないほどの旅をしてきたが、
「いい旅だったな」と思い返すのは、
決まって、夜の終わり方が美しかった旅だ。
特別な出来事があったわけではない。
豪華な演出があったわけでもない。
ただ、
灯りを見て、温泉に浸かり、
何も考えずに眠れた。
それだけの夜が、強く残っている。
湯西川温泉かまくら祭りも、同じだ。
この場所の本当の魅力は、
写真に写る灯りの数ではなく、
夜をどれだけ静かに終えられたかにある。
だから、もし迷っているなら、
僕はこう勧めたい。
泊まるという選択をしてほしい。
灯りを見て、
温泉に浸かり、
何も考えずに眠る。
その一夜は、
きっと、数年先の冬に、
ふとした瞬間、あなたの中によみがえる。
「ああ、あの夜は、よかったな」
そう思える記憶が残るなら、
旅としては、もう十分だ。
夜を味わうための、ただ一つの選択。
それが、
泊まる、ということなのだと思う。


